ホームセキュリティー
ひとつには、自宅に大金を置くようには到底見えないウチがまさか、という根拠のある自信。そしてもうひとつは、設備等の初期投資も含めた高額の警備費用だ。
考えてみれば、それ自体一種の自己矛盾だ。守りたいものがあるなら卑近な表現だが、「金に糸目はつけない」のが普通だろうからだ。
金をかけずに安心は欲しい、そんないささかスノッブな小市民の世界にまでホームセキュリティーという概念が浸透しつつある社会は、やはり少々不健全ではないかとも思う。
ところが半年過ぎてこの秋、台風23号のさなか、落雷に見舞われた。
詳細は、『トカゲの後遺症』その他を参照されたい。
こりゃ、いかん。人生何が起こるかわからない。ビギナーのドロボーだったりすると、血迷って我が家に狙いをつけるかもしれない。そう考えられるようになった。
それからまもなく、また1社が営業に訪れた。まさか落雷まで察知したわけではなかったが、私の事業所にまでやってきた彼は、新しい提案をした。コストが半減したのだ。
最初の提案では、正直なところ高額に加えて「煩雑」という問題も大きかった。就寝後は解除が面倒で、うっかりキッチンに忍び込んで冷蔵庫をあさったりも出来なかったのだ。
今回の新しいシステムは、コントロールパネルの操作と全体管理を簡略化し、各センサーも無線でつながれるようになった。工事費は半減だし、外観もスマートになる。
各センサーのチェックのために窓を開けたり、廊下を歩いたりするたびに、コントロールパネルが反応するのが面白い。移動ルートも手に取るようにわかる。満足した。
ただ、最後に街でよく見かけるあのステッカーを貼る段になってちょっと困った。
それが目的でもあるが、目立つのだ。なかなかに恥ずかしい。
噂では、警備会社のステッカーを貼った家をみると、かえって闘志がみなぎるタイプのドロボーもいるとか。結局「安心」は買えたのだろうか、釈然としないのだ。