『男子高校生の日常』 / 山内 泰延

我が家には、人外魔境がある。
始めは一つだったが、いつの間にか増殖した。

アマゾンの熱帯雨林が浸食されるにも似て、
ジワリジワリと広がってきた。

納戸、和室、縁側、
そして、ウォークインクローゼット。

生きていくって大変だ。
片づけるたびにそう思う。

が、ウォークインクローゼットだけは、
私は、関知してこなかった。

なぜかというと、なんとなくだが、
家人どもの最後の秘境らしいから。

先日、久しぶりに足を踏み入れて驚いた。
天井まで届く書棚二つにマンガがいっぱい。

いつから、ウチは、漫喫になったんだ。
怒る気力さえなえてしまった。

気を取り直して、観察、分析した。
大学生が二人いる家らしいラインナップだ。

最年少家人の蔵書がどれかは、よくわからん。
中2病真っただ中のはずだが。

書棚のコミックだけはちゃんと整理しているのが、
なんだか腹立たしい。

と、目にとまったのが、これ。
『男子高校生の日常』。

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なんだって、こんなものが。
というか、知らんぞ、私は。

誰が集めたのか、6巻ある。
早速、徴発。

北杜夫の『どくとるまんぼう青春期』や
東野圭吾の『あの頃ぼくらはアホでした』。

そんな世界が描かれている、コミック。
有り余るエネルギーすべてをかけてアホ。

だが、私自身のこととして振り返って、
男子校の青春時代は、楽しかった。

腹の底から笑わされて、しばらくすると、
ノスタルジーに浸ってしまう。

面白うて、やがて哀しき、である。
で、内容。

県立の男子校が舞台。
時代は違うが、精神性は、昔と似ている。

「妹」や「姉」の立ち位置が、いかにも今様。
たまに、女子校の女子たちも俎上に上がる。

待合室などで見つけたら、要注意。
あと、思い出し笑いにも。

そうそう、わざわざ言うことでもないが、
登場人物の名前は、みな、カタカナ4文字。

いや、なんというか、その、出版元が、
スクエア・エニックスだからだろうか。

私の「ヒロリン」も初代ドラクエ以来、
四半世紀以上使っている。

「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。」
ちなみに、あのコマーシャルで爆笑した私だ。

第1巻の帯の言葉をあらためて改めて贈ろう。
「男子高校生よアホであれ。」