『鶴澤清治 闘う三味線 人間国宝に挑む』

a0022024_17575784.jpg


邦楽の教養にかける私だ。
永く西洋音楽の世界に浸っているからかも。

歌舞伎はどこを見ればいいのかわからない。
役者か舞台か衣装か太夫か三味線か。

まあ、それはオペラも同じ。
「総合芸術は」鑑賞も忙しい。

そんなこんなで、せっかく大阪発祥なのに、
接する機会のなかった浄瑠璃。

先輩が、DVDを貸して下さった。
とにかく面白いから、と。

失礼ながら、嘘偽りなく面白かった。
太夫と三味線のバトルドキュメント。

緊張感に満ちたシーンの連続だった。
そうして、ひとつの「芸」になる。

そのほかにも学んだ。
浄瑠璃の上演には、様々なスタイルがある。

人形なしの「素浄瑠璃」。
演奏会形式のオペラに近い。

三味線だけの合奏。
10本並んだ太棹のユニゾンは大迫力。

西洋音楽では、ソロの優位が大きい。
伴奏は、裏方に徹する。

良くも悪くもそういうものだと思う。
が、浄瑠璃の世界は違った。

太夫を立てて控えめに演奏すれば、
それは死んでいる、と評される。

だからこその、せめぎ合い。
真剣勝負だ。

柔らかい、上品な大阪弁でなければ、
喧嘩になりそうな勢いでもある。

84歳の太夫に「兄さん」と傅き(かしずき)、
61歳の三味線は、「あの子」と呼ばれる。

60過ぎて、あの子はまだまだこれから、
こともなげに言われる、恐ろしい世界。

鶴澤氏は老練を評価しない。
ピークを過ぎた、と断ずる。

それでも、人間国宝に挑んだ。
鬼気迫る練習風景が印象的。

このDVDが発売される直前、
当の鶴澤清治も人間国宝になった。

器楽音楽としての三味線合奏には、
やはり、すぐになじめた。

しかし、浄瑠璃という古典芸能に、
ここまで惹かれるとは、年齢か。

84歳の太夫が言う。人形浄瑠璃は、
人形、浄瑠璃、三味線の三位一体。

この歳になり、興味の世界が広がった。
歳を取るのも悪くない、とまた思った。


【送料無料】闘う三味線 人間国宝に挑む ?鶴澤清治? [ 鶴澤清治 ]

【送料無料】闘う三味線 人間国宝に挑む ?鶴澤清治? [ 鶴澤清治 ]
価格:5,712円(税込、送料別)


by hirorin330 | 2012-09-13 17:55 | 映画・DVD | Comments(0)