フィギュアの私
その朝、東京から小さな荷物が届いた。
送ってくれたのは、古い飲み友達。
その品との出会いを文章にした、
短いエッセイとともに。
ショウウィンドウに大兄を見つけました、
と、そのエッセイには、あった。
私を兄と慕ってくれるが、
まあ先に生まれたというだけ。
早速、開けてみると、
中から小さなフィギュアが出てきた。
あわただしい朝の食卓は、
たちまち家人たちの哄笑で満ちた。
いわく、フィギュアの方がスマート。
注目はそこか。
彼の眼には、私は、こう写るのか。
ちょっと新鮮で、自然に顔がほころんだ。
若さが、プラスにならない仕事に就いて、
いつのまにか、老け役を演じていた。
かとおもうと、無邪気にはしゃぐ姿に、
お若いですね、というコメントもいただく。
謎めいた中年。
このフィギュアで、謎はさらに深まる。
こういう友がいて、私は幸福。
しみじみありがたい。
陶器の家を置いて、ちょっと演出してみた。
題して『ご機嫌な私』
I君、どうもありがとうございました。