マンボウ

中学生頃、北杜夫の『どくとるマンボウ』シリーズをよく読んだ。遠藤周作も『沈黙』や『白い人黄色い人』とともに『狐狸庵』シリーズを愛読した。佐藤愛子もまた同様に。

3人ともちょうど親の世代でもあったが、軽妙洒脱な文章が楽しく、クスクス笑いながら、こういう大人になりたい、と、なんとなく思っていた。

ただ、ちょっと違和感があったのが「マンボウ」だ。活気と生命力にあふれた思春期の少年には、「マンボウ」への憧れは、本当には理解できなかった。

ふと本箱の片隅のこのフィギュアに眼が留まった。今ならわかる、マンボウの浮世離れした浮遊感への憧れが。ちょうどあの頃の北杜夫の年齢に達していた自分にも気づいた。

大阪の「海遊館」のミュージアムショップで手に入れた海洋堂のフィギュアだが、姿かたちから、すっとぼけた表情まで、実によく再現されている。ああ、マンボウになりたい。

マンボウ_a0022024_12111380.jpg

by hirorin330 | 2005-03-13 12:12 | 日常