ファクシミリ

ピ~~~~~ヒョロヒョロロ~~~~。では、ない。自筆原稿の忠実なコピーのこと。
「同様に作れ」というラテン語由来の言葉だが、いつからか通信手段を意味するようになった。

作家の自筆原稿を見ても、原稿用紙の升目など無視して豪快に書かれたものや、端正で几帳面な文字が並んだものもあり、作家の人となりがうかがえて興味深い。

学生時代、日本の大学院までは、文学部美学科で「文字」を使って音楽に遊んでもらっていたが、旧西ドイツでは、大学併設の音楽学研究所のお世話になっていた。

そこで、さまざまな自筆譜や、そのファクシミリを目にして虜になった。息遣いが見える、とでも言うのだろうか、後世の印刷物とは違い、作曲者の精神に触れることができる。

もちろん自筆譜は、研究所や博物館が所蔵保管すべきものだが、ファクシミリは、ホリエモンではないが、金で買って、作曲者の精神を垣間見、所有することができる。

先ごろ、なんと日本で新たにJ.S.バッハの自筆譜が見つかり、鑑定も終了して自筆譜と確認されたのが2004年。そして、この3月31日ついに出版された。

『満ち足りたプライセの町』という結婚式のためのカンタータ。
学術的新発見としては実に80年ぶり、しかも日本で、だ。

さっき手元に届いた。数奇な運命に思いを馳せたり、飽かず眺めたり、「昔取った杵柄」で分析の真似事をしたり楽しみは多い。いや、もちろん、趣味に過ぎないのだが・・・。
by hirorin330 | 2005-04-03 11:13 | 趣味