驟雨 或いは にわか雨
思わず外に目をやる雨音。
今日の予報は、雨だったか。
というか、『十一月に降る雨』は、
堀口大學だろう。
十一月はうら悲し
世界を濡らし雨が降る
に始まり
逢引の雅男もぬれにけり
雅女もぬれそぼちけり
で終わる、どこか不思議な、詩。
要は、世界中が濡れると言う詩。
雅男(みやびおとこ)と
雅女(みやびおんな)が、やや唐突に表れ、
しっとりと艶やかに締めくくられる。
が、だ。
今日の雨は違った。
11月の雨らしくなかった。
「ざあっとやって」きた、※1
「大驟雨」だった。※2
※1:伊藤整『雨の来る前』
※2:草野心平『富士山』作品第貳拾壱
雨音に驚き、S120を構え、
雨粒をとらえるに苦労していると、
向かいのビルに写る空は明るい。
間もなく空は晴れ渡った。
この間、ほんの十数分。
驟雨と言うか、通り雨と言うか、
「ところによって、にわか雨」だった。