鋼密度模型 TIGER-I / targa
東の巨人、F氏、と、西の名人、kpfw氏だ。
共に「中年出戻りモデラー」を自称なさっているが、
その技量と情熱は、
「kpfw」というHNは、ドイツ語のKampfwagen の
ドイツ語特有の省略形をそのまま使っておられる。
その意味は、「戦闘車両」。
阪急電車で携帯電源を切る「先頭車両」とは少し違う。
ちなみに、ドイツに学んだ経験がありながら、
ドイツ語の省略形は、いまだによくわからないところがある。
たとえば、悪名高き「ナチ」或いは「ナチス」(ただし多分英語)。
Nationalsozialism (国家社会主義)のNAとZIらしいのだ。
ドイツ語で、ナチ党は、NSDAP
(Nationalsozialistische Deutscher Albeiterpartei)
(国家社会主義ドイツ労働者党)。
このようにドイツ語では、名詞は限りなく長大化する。
何桁もの数字も文字にすると区切りなくひたすら1単語になる。
もともとは、英語的に頭文字をとることのほうが、珍しかった。
おっと、暴走。閑話休題。
お二人と東京の某特濃模型店番頭氏が中心になって、
「悪いオトナの会」が結成されたのが、2007年。
玩具好きではあるが、モデラーではなく、
悪くもなければ、オトナでもない私に入会資格はない。
そんな私が昨年10月、F氏ご夫妻とお目にかかる機会が与えられ、
模型をいただいた。一次感染。
そして先日、今度は西の名人との対面を許され、
またしても模型をいただいてしまった。二次感染。ああ、不治の病。
で、いただいたのは、戦闘車両の筆頭格,
Panzerkampfwagen VI Tiger-I(6号戦車/虎・壱型)
しかも、7分割高密度内部再現モデル。
塗装のスキル皆無の私が泣いて喜ぶ塗装済みキット。
泣かせる7箱コンプリートパッケージ。
kpfw さま、本当にありがとうございました。
ここから先は、禁断の魔界、「悪い大人の世界」。
まずは、全ての箱を開けてみた。
これだけでも悶絶モノ。
搭乗員がみんな顔まで塗られている。(歓喜の涙)
砲塔、砲身を組み立てて、照準手を乗せる。
あ。載せる、だろうか。
防毒マスクや伝声器のドイツ語の文字が泣かせる。
かなりタイトな履帯を穿かせると。
一気に足回りが締まる。
やはり無限軌道が好き。
マイバッハエンジンと変速機をプロペラシャフトでつなぐ。
セーブが効かず、ここまで一気に組み上げてしまった。
装甲パーツを
組み立てる。
ところが、そろそろディレンマ。
完成してしまうと
ハンスもペーターもヨアヒムも、ルートヴィッヒもヴァルターも、
みんな鉄の棺桶に閉ざされてしまう。
というわけで、
か、
のまま飾っておこうかと思っている。
にしても、今回あらためて思ったが、鉄の棺桶とは、言いえて妙。
88mm砲の砲弾と同居して、疾走するって、どんなだろう。
で、思い出したのが、ウチの1/35の完成品たち。
kpfw さんにすすめられて、初めて一緒に並べてみた。
5号ヤークトパンターが車高も低くてスポーツカーみたい。
っつうか、6号ティーガー2型があきれるほどでかい。
5号戦車ヤークトパンター、6号戦車タイガー1型、2型を、
それぞれ全長x全幅x全高、重さ、前部装甲の厚みで比較してみた。
9090x3420x2995mm 44800kg 110mm
8450x3705x3000mm 56900kg 100mm
10286x3755x3090mm 69800kg 180mm
ちなみに三菱の路線バス「エアロスターS」がこの大きさ。
10490x2490x2985mm 11050kg
ピンと来ない方も多いと思う。
10人の武装兵士を運ぶ兵員輸送車と比べた図が、これ。
中型の路線バスほどのサイズだと思うが、小さい。
さらに、無謀にも私のPKW(乗用車)とも数字だけでも比較してみよう。
4490x1750x1370 1680kg
大体の大きさはわかっていたつもりだが、唖然とする。
我がBMW330が4台x2段がさねになる。
つまり、だ。
BMW330が、余裕で8台中に入れる「着ぐるみ」と言える。
で、前部装甲の鉄板の厚みが10cm~18cm。
重さが45t~70t。
もう、これは、動いちゃいかん大きさ、重さだろう。
なのに、6号戦車は、時速40km以上で走れるから驚く。
かんべむさしのSFに第二次大戦中のドイツ機甲師団がタイムスリップし、
何故か国道171号線(通称イナイチ)を進軍する話があった。
何百両もの数十トンの鉄の塊が、轟音と地響きの中、疾走するのだ。
国道沿いのガソリンスタンドを飲み干しながら。
勘弁して欲しい。
現代の陸上自衛隊だって苦戦するんじゃないだろうか。
兵器、武器でありながらかくもロマンと想像を掻き立てる存在もそうはない。
もちろん、蹂躙される側にだけは、立ちたくないものだが。