あわ咲き / 神戸酒心館
灘五郷の多くの醸造元がそうであるように、
『福寿』も半世紀で2度も壊滅的な打撃を被ってきた。
45年の神戸大空襲による戦災と、
95年の阪神淡路大震災だ。
立ち直れないまま消えていった酒蔵も多い中、
『福寿』は、『神戸酒心館』として復活した。
日本人の日本酒離れが進む中、日本の酒文化の伝統を守りつつ、
トータルな「酒」の提案や実験的ともいえる努力を重ねていると思う。
で、『あわ咲き』。
瓶内発酵の純米酒。
まるでシャンパーニュ。
酵母が瓶内に残っているので軽く白濁している。
おそらくは、女性を意識したであろう、可憐なボトル。
とても日本酒とは思えない。
やや甘口だが、米というよりはフルーティーで、
微発泡のせいもあって、とてもさわやか。
驚くべきは、そのアルコール度数。
6~7度しかない。
9度のワインに驚かされたこともあるが、より軽い。
料理と一緒に飲んでよし、夏の昼下がり、よく冷やして飲むのもいいだろう。
日本酒の新しい形かもしれない。