モディリアーニとプリミティヴィスム
クリアファイルとマグネットをいただいた。
クリアファイルは、『黒いドレスの女』で、
マグネットは、『大きな帽子をかぶったジャンヌ・エビュテルヌ』。
展覧会のテーマは、
「モディリアーニとプリミティヴィズム(原始主義)」。
西欧中心主義の臭いがする芸術運動。
袋小路に迷い込んだ西洋芸術の模索といえるかも。
それは、19世紀末の、いわゆる「世紀末」の混沌の中から生まれた。
まあ、モディリアーニの酒びたりの人生には、羨望を覚える。
と、これだけの話なのだが、
クリアファイルの裏側のデザインに惹きつけられた。
白い紙を挟むと、モディリアーにと思しき佇む男と、
生活感がにじみ出た建物が、おぼろげに浮かびあがる。。
それは、今では、絶滅危惧種とまで言われる、銀塩写真、
そのなかでも、アンティークなガラス乾板の作品を彷彿させる。
いや、正確には、何を写したものかもわからないし、
その由来も何も知らない。
が、世紀末のパリ、とでも説明されれば、
有無を言わさず納得させられてしまう雰囲気が、この画像にはある。
この建物には、仮に、エレベーターはあってもそこに扉はなく、
まさに原始的な水洗トイレが備わっていただけだろう。
それは、19世紀末そのものが、現代の私から見れば、
プリミティヴ以外のなにものでもない、ということでもある。
初心者も素人もパソコンで手軽に画像を処理できる、
デジカメ時代の作品とは、全く違う次元の画像だ。
現代でも、ピンホールカメラや旧ソ連の稚拙なカメラを使って、
表現の可能性を探る写真家たちがいる。
誤解を恐れないで言うと、彼らも原始主義者かもしれない。
言葉でくくることの難しさを改めて思う。
それはともかく、G-10が欲しいなあ。