名門の危機

夕刊にショッキングな記事を見つけてしまった。
「メルクリン破産」

このご時世だ。
あまたの名門、老舗が、窮地にあることだろう。

にしても、個人的に強烈なショックを受けた。
なにしろ、創業150年のドイツの名門鉄道模型メーカーだ。

1859年というと第二帝政の前、
極論すれば「ドイツ」という国家もなかったころだ。

そもそも、ドイツ鉄道の開業は、1835年だから、
それから20数年でもう模型が作られたことになる。

150年のうちには、さまざまな技術的な発展があったが、
精巧にして頑丈、これに尽きると思う。

独特の3線式レールから、ストレスなく集電し、
強力な交流モーターを回転させる。

ダイカスト製の車体は、ズシリと重たく、
走行は、安定してとても力強かった。

蒸気機関車は、独特のオイルを使って発煙し、
電気機関車は、パンタからの集電も可能だった。

ポイントや信号も電動で稼動し、
実際の鉄道と同じものが家に来た、といっていい。

とにかく、なんといっても、
昭和の鉄道少年のあこがれの的だった。

毎回ではないが、出張の土産は、メルクリンをねだった。
父も好きだったのだろう、よく買って帰ってくれた。

私の今年のリアル年賀状は、
メルクリンZゲージのジオラマから撮った。

いままでも、二度記事にしている。(その1 、その2
が、語りつくせない思いが、メルクリンにはある。

ドイツ滞在中も、メルクリンのおかげで、
("Märklin"の発音で)"ä"をクリアできたと思う。

形見の形見にメルクリンを見つけ、
整理を始めた矢先のこのニュース。
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旧西ドイツの6軸の電気機関車。
日本で言う"EF"シリーズ。

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オランダの6軸の電気機関車。
この1200型、実は、アメリカ製だとか。

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懐かしい塗装の石油会社の貨車もある。
嗚呼、昭和。

いや、まあ、それにしても、ショックではあったが、
実は、私は、楽観視している。

世界中の鉄分の濃い玩具好きが、
見捨てるはずがない、そう、確信している。

およばずながら、私も微力をささげる覚悟だ。
再統一後のドイツ鉄道は、御無沙汰だったから。

待ってろよ、メルクリン。
by hirorin330 | 2009-02-05 18:29 | 趣味