天丼と鴨汁蕎麦

子供のころから通っている蕎麦屋がある。
もう40年以上になるか。

小洒落ているわけでもないし、
最近多い、ストイックな蕎麦屋でもない。

それでも、店先に製粉機を置いて、
蕎麦打ちを見せるコーナーもあったりする。

と言っても、丼物もあれば、鍋物も出す、
いたって普通の街の蕎麦屋。

美味さと気楽さで昼時に訪ねることも多い。
いわゆる、なじみの蕎麦屋か。

蕎麦屋独特の大きな海老天が好きで、
小学生のころは、天ざるや天ぷらそばをよく食べた。

そのうち、カツ丼に手を出すようになり、
天丼とどちらにするか逡巡するようになった。

やがて、天ぷら蕎麦とカツ丼を両方食べられるようになる。
ここで悩みは、単品の選択から組み合わせへと複雑化した。

天ぷら蕎麦と天丼では、芸がないように思えたし、
夏場は、天ざるやおろし蕎麦も外せない。

こうして蕎麦屋での選択は、
悩ましくも楽しいものとなる。

とはいえ、店の人を待たせるのも気が引けるので、
一定のルールを作った。

夏場なら天ザルとカツ丼、あるいは、
おろし蕎麦と天丼もしくは、カツ丼。

寒い季節になると、天丼かカツ丼に、
鴨南蛮蕎麦か天ぷら蕎麦を組み合わせた。

それからしばらくすると、困ったことに、
それでも、まだ食べ足らない私が居た。

ただ、その場合は、なるべくだが、
消化剤代りにおろし蕎麦を食べるようにしていた。

さすがに、天丼+かつ丼+鴨南蛮蕎麦では、
どうかと思ったし、組み合わせも複雑になるばかりだ。

とはいえ、だ。
そんな時代も、やがては、終わりを告げる。

まず、3品目が欲しいと思わなくなってきた。
哀しいかな、丼物と蕎麦を食べて満腹するようになる。

次に、ご飯ものをはずした、蕎麦二品を選ぶようになる。
ますます、哀しいが、現在が、この状態。

この、「蕎麦系二品時代」が結構長い。
もう、10年くらいになるだろうか。

蕎麦二品を選ぶのも、また楽しい。
温かいもの、せいろ系、ぶっかけ系などなど。

いや、この店の名誉のために言うが、
小ぶりな丼や麺類とのセットメニューももちろんある。

が、しかし、だ。
んなもなあ、食べたいとは思わない。

500系新幹線同様に、
食うならフルサイズ、が私のモットーだ。

実は、米をなるべく摂らない、という、
極めて消極的なダイエットにチャレンジもしてきたし。

それでも、大して効果はなかった。
で、先日の昼時、久々に丼ものと蕎麦を註文してみた。

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天丼と、


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鴨汁蕎麦(鴨せいろ)だ。


いやあ、久しぶりに、満腹した。
美味しかったし、大満足だ。

ところが、だ。
夕方になっても、どうも腹が空かない。

昼食の量が多すぎたわけでもないし、
もちろん胸にもたれているわけでもない。

これは、思うに、脳の仕業だ。
丼と蕎麦は、食い過ぎだという意識があるのかも。

結果、7時過ぎまで、腹は減らなかった。
哀しい。

やはり、もう「丼物+蕎麦」時代には、戻れないのか。
あ、思いだした。

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同行者の「マグロやまかけ丼定食」の丼が美味かったので、
相当量略奪していたっけ。

ああ、よかった。
やはり、行きつけ、なじみの蕎麦屋は、いいもんだ。
by hirorin330 | 2009-05-08 19:08 | 日常