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もう出てこないと思われた、母の遺品。
また出てきた。

私はほとんど腕時計をしないのだが、
秋から冬には、着用することもある。

で、自分の腕時計を探していると、
薄っぺらな時計ケースが出てきた。

あけてびっくり、母の腕時計。
私が子供のころ、見覚えのある時計。

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母もとうにつけなくなって、
まとめて私が預かっていたようだ。

それにしても、だ。
小さすぎないか。

氏素性を確かめようと思っても、
悔しいが、肉眼では見えない。

この大きさでクォーツはないな。
電池と同じような大きさだもの。

といって、自動巻きも考えにくい。
小さすぎて、巻き上げの力がないだろう。

ためしに、私の一番大きな腕時計と、
一番視認性のいい時計を並べてみた。

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左は、文字盤の直径が、10mm、
右は、縦に14mm、幅が8mmしかない。

この小ささに感動すら覚える。
偉大なり時計職人。

皮ベルトは痛んでいるが、
ブレスレットは、WGが、まぶしい。

いや、もちろん、鍍金だろうが、
くもり一つない。

遠近両用メガネをかけていても、
ついつい、眉間にしわを寄せてしまう。

結局、ルーペを使って、
観察することになった。

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二つとも、セイコーの手巻き。
今でもなかなか美しい。

当時をよく記憶しているわけではないが、
これはこれで一つの時代だったのだろう。

そういえば、昔の女性は、みんな、
手首の内側に文字盤を向けていたなあ。

こういう時計がエレガントとされた時代。
ただ、気になることもある。

母には、この文字盤が見えたのだろうか。
老眼はすでに始まっていたと思うのだが。

時の流れは、速いもので、
母が亡くなって、12年。

置いていても仕方がない、
そう納得するのに父は10年かかった。

そしてようやく始まった遺品整理。
実働は、もちろん、私。

管理が悪かった和服は、
二束三文。

クリーニングしてあった衣類も、
キロいくらで、引き取られて行った。

それから2年。
もう何も出てこないと思っていた。

が、さっき、花瓶敷きを探していて、
引き出しの中に見つけた。

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スカーフなどと一緒に、
クリーニングされたテーブルクロス。

そうだ、母は、レースが好きだった。
そんなことを思いだしたりもした。

と、どうだ。

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引き出しの奥から、
聖徳太子と伊藤博文だ。

母の忘れものだろうか、
それともヘソクリか。

12年の時を経て、
ようやく日の目を見た旧札。

お小遣いとして、
ありがたくいただこうと思う。

そういえば、板垣退助も居たっけ。
ふっふっふ。
洒落でもなんでもない。
ファイル、かもしれない。

この時期、現実逃避の傾向が強く、
意味もなく片づけはじめたりする。

もちろん片付くわけがなく、
時間だけが過ぎてゆく。

それだけで済まないことも多い。
何かを発掘してしまったりすると。

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今回は、このアルバム。
きれいだが、25年以上前のもの。

完全に忘れていた。
なにものであるか。

開いてびっくり、
ワインのラベルのコレクション。

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35種類、全部ドイツワイン。
思わず声が出そうになる。

滞欧中、飲んだもの。
旧西ドイツだったので、ドイツワインばかり。

ドイツワインは、ラベルがはがしやすい。
空き瓶を水につけておけばいい。

ただし、台紙は、水分を含んで、
しわしわになりやすい。

参ったなあ。
留学中からこのざまだ。

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パラパラとめくって赤面した。
感想がドイツ語で書いてあるものもある。

人として、酒飲みとして、
この頃の方が真面目だったよな、俺。

今では、こんなマメなことしていない。
ただ、飲みっぱなし。

思い出にふけって酔いたいところだが、
今日は休肝日。

えらいぞ、自分、
とか、つぶやいてみる。
いつまでも終わらないものだ。
いや、母の遺品整理。

もう亡くなって11年だというのに、
あとからあとから色々出てくる。

今回は、ハンドバッグシリーズ。
見覚えのあるのやないのや10個ほど。

メモや手帳も出てくるし、
運が良ければ、コインやたまに紙幣も。

が、仰天するようなものも出てくる。
たとえば、コンサートのチケット。

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朝比奈隆が振ったハンブルグ北ドイツ放送交響楽団。
北ドイツ放送(NDR)は、ハノーファーにもオケを持つ。

さすが、ドイツの放送局。
複数のオケや合唱団を持っている。

ハンブルグは、ブラームスの生地でもあるので、
ハンブルグのオケは、ブラームスが得意だったと思う。

カール・ベームやオットー・クレンペラー、
古くは、W.フルトベングラーも客演している。

で、1987年4月には、日本に来て、
朝比奈隆が指揮をしたようだ。

ふうん。
こんな演奏会に行ったんだ。

何となく、感慨深い。
と、今度は演目が気になる。

エライ時代になったものだ。
ネットですぐに分かった。


・ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
       ~第1幕への前奏曲
・ブルックナー/交響曲第4番「ロマンティック」

おやおや、なるほど。
これは、まるっきり父の趣味だ。

中之島のフェスティバルホールか。
1987年と言えば、昭和62年。

昭和の演奏会前後は、何を食べたんだろう。
不肖の息子は、食い気の方に興味があったりして。
実家の片づけを手伝って、
また、いただいてきた。

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父のバッグ、二つ。
どちらも見覚えがある。

旧西ドイツで私が買ったもの。
ひとつは頼まれて、もう一つは後に私から。

ショルダーバッグは、自分で型番まで調べて、
クレジットカードの利用を許可された。

そういえば、あのとき、母は母で、
エルメスのバッグをリクエストしてきたっけ。

私が贈ったのは、クラッチバッグ。
挫折し、帰国するときに、せめての感謝の気持ち。

我ながら、
つくづくプレゼントのセンスがないと思う。

「ゴールドファイル」というブランド。
ドイツ語では「ゴルトファイル」に近い発音。

デザインはあか抜けないかもしれないが、
品質は抜群。

四半世紀が過ぎてこの状態。
もっとも、ショルダーはあまり使っていないみたい。

もう使うこともないから、と譲り受けた。
また、切なくなった。
尼崎信用金庫、尼信の行員さんが来た。
お父様名義の定期があるのですが、と。

ブラジルで成功した、音信不通の叔父の遺産、
の次ぐらいにありがたい。

父はまだ存命だが、
出歩くことが困難になり、放置したようだ。

先日、整理を任されて預かった書類を探した。
見つかった。

唖然。

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「勝ち星 77」
「虎の雄叫(おたけび)」
「虎の雄叫 II」
「猛虎一本道」
「ウル虎教育ローン」

誓って言うが、
私は「ウル虎教育ローン」で勉学したのではない。

父は筋金入りの南海ファン。
ダイエーでもSBでもなく、南海ファン。

ちなみに私は、阪急ファン。
まちがってもバッファローズファンではない。

説明が必要か。

昔、日本のプロ野球には、パ・リーグ、
つまり、パシフィックリーグ、
つまり、太平洋野球連盟というのがあった。
あ。今もある。

が、最近のパ・リーグと違って、
実力を誇りつつも不人気な球団が多かった。

閑話休題。

その父が「がんばれタイガース定期預金」だと。
優勝時の優遇金利に魂を売ったようだ。

たちまち、ありがたい父の言葉を思い出した。
要るものがあれば、持っていけ。

と言われても、だ。
解約手続きや生前贈与で、きわめて面倒くさい。

今まで通り、おとおさまぁ、
と猫なで声で強請(ねだ)ることにしよう。
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実家発掘中に出てきた小さな紙の箱。
「趣味の御陶器」「たのしい思い出」「優雅」とある。


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フタ開けようとして、縁が破れた。
こりゃ、年代物だ。


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なるほど、高さ数センチの小さな陶器だ。
しかし、それ以上は、すぐには理解できなかった。


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あまり高級でないことはすぐわかる。
が、彩色は手描きのようだ。時代か。

図柄をよく見てようやく理解した。
伊勢神宮と夫婦岩。

小学校の修学旅行の土産だ。
買ってきたのは私。

私の時代、小学校の修学旅行と言えば、
伊勢神宮方面が定番だった。

そして、夫婦岩の前で日の出を仰ぐ。
それが阪神間の小学生の修学旅行。


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パジャマ代わりの体操服のまま、
眠い目をこすりながら記念撮影。(11歳の私)

小さな器から、
色々な思い出がよみがえる。

厳しく制限された小遣いの中から、
何を買えば親を喜ばせるか腐心したものだ。

でも、両親も困ったのではないかと思う。
捨てるに捨てられず、しまいこまれたのだろう。

あれから40年以上か。
こうなったら、私も守り通そう。

鑑定を依頼した子孫が、
いい仕事してますねえ、と言ってもらえるまで。

んな、あふぉなこと考えてるから片付かないんだ、
って、わかってます。はい。
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「おとなむき」とはいえ、極めて健全。
なにせ、住友銀行の「オマケ」だから。

父のところからくすねて、
否、いただいてきた。

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平成7年のものだから、古くはない。
が、オリジナルは古そう。

住友銀行は、京都に『泉屋博古館』を持っている。
「せんおくはくこかん」と読む、博物館だ。

東京にも分館があると聞いているが、
旧財閥系は、文化貢献にも力を注ぐ。

そのコレクションには、古代中国の青銅器も多く、
これも、そのレプリカかミニチュアと思われる。

少し調べたが、お手上げ。
どなたかご教授いただければ、幸甚に存じます。

銀行のオマケと言えば、ラップ、石鹸、タオル、
そして、昔は、貯金箱があった。

ということで、ありがたそうな器にも、
「故事」に倣って働いてもらうことにした。

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実家の発掘で見つけ出してきた。
思い切って記事にした。

帯封の解かれていない新券の札束が6つ。
何を考えてるんだか、我が親父。

さて、使い道に困った。
何を食うか、何を飲むか。

といっても、非常識な豪遊ではない。
文豪・J.W.von ゲーテゆかりのブレンターノ家。
そのブドウ畑から作られ、ゲーテも愛したワイン。

いわゆる「ゲーテワイン」。
昨年の実家発掘のどさくさにゲットしてきた。

だって、1991年もの。
つまり、二十歳だ。

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二十歳と言えば成人式だが、
ドイツの白ワインの場合、喜寿、米寿並みか。

ご覧のとおりのラベルの状態。
判読するのも一苦労。

ヴィンケル村の「ウサギ跳び」
リースリンク種のシュペトレーゼ(遅摘み)。

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コルクのカビもこの通り。
ただ、液漏れや「天使の取り分」は、ほぼゼロ。

半ばあきらめ気分でグラスにそっと注ぐと、
見事な黄金色。

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そして、広がるハチミツのような甘い香り。
みごとなデザートワインだ。

コルクやラベルのカビに20年の歴史を感じるが、
いやいや、立派に育ってくれた。

20年ものの「ワインの成人式」、クセになりそうだ。