葡萄酒友達
今夜、飲まないか、と。
もちろん、
二つ返事。
首都圏や英国に生まれ育った彼とは、
その大阪時代に『Fujiya 1935』で出会った。
考えてみるとまだ4年少々の付き合い。
が、機会ある限り一緒に飲もうと思っている。
一言で言うと、
稀有な飲み友達。
で、彼が奈良での仕事を終えたあと、
遅いスタートとなったが、いそいそと出かけた。
場所は、新福島の『かもしやくすもと』さん。
まずは再会を祝してシャンパーニュで乾杯。
といっても、3~4カ月しか空いてないのだが。
グラスでいただいたのは、ピエール・ジモネ。
くすもとさんちだから、もちろんマグナム。
果実味が豊かで、泡が細かく強い。
一杯目にふさわしい若々しさ。
一種の不文律なのだが、彼と飲むときは、
何か気合の入ったワインを最低1本開ける。
で、ちょいと気合の入った、
ヴォーヌ・ロマネの1999年。
実は、彼は、シャンパーニュ地方の赤、
シャンプノワの1995年を選んでいたのだが、くじで決めた。
彼に勝って欲しいとも思ったが、
私のチョイスも間違ってはいなかった。
ブルゴーニュらしい、ピノらしいフレッシュ感と、
12年の時間が醸し出したふくよかさがいい。
場所を変えて、もう1本。
店は、瓦町4丁目の『カデンツァ』。
本町のオフィス街にひっそりとあるワインバー。
『カランドリエ』や『エテルニテ』に居たソムリエが、
この春、オープンしたばかりの隠れ家。
それは素晴らしいワインが揃っている。
何を開けるのか、またしても、悩ましい。
グラス・シャンパーニュでリセットしながら、
二人して長考の末、シャトー・フィジャックの1978年を選んだ。
かのパーカー大明神は、あまり評価しないらしい。
いわく、好きなのだが凝縮感に欠ける、とか。
この1978年物も確かに、33年もの時間は感じられない。
しかし、イヤラシイ熟成感より、私には好ましい。
敢えて表現するなら、「永遠の清純派」。
あ、そう云う視点が、イヤラシイか。
ボルドー・サンテミリオンは、なぜか相性がいい。
今回もちょっと冒険かと思ったが、なんの、大正解。
美酒の杯を傾けながら、酒を語り食を語り人生を語った。
普通のオッサンの特別な夜は、こうして更けていく。
I君、また飲みましょう。