調律
ウチの居間で、3年間放置されている。
購入時からお世話になっていた調律師の方が、
体調を崩されたことがきっかけ。
かなりの重病と伝え聞く。
一日も早いご回復を祈るばかり。
所詮は、素人の楽しみに過ぎないのだが、
では、どなたにお任せするかというと考え込む。
決断力がないのか、逡巡するうちに、
気がつけば3年も過ぎていた。
フェイスブックで再会した旧知を思いだした。
彼は、古典調律にも造詣が深く、とても研究熱心。
ただ、きわめて学究的で、少々遠方の方でもある。
一方、こちらは、素人が弾くポンコツピアノ。
おそるおそるメッセージを送ると、
快諾してもらった。
ありがたい。
ほとんど放置楽器だったのだが、
でてきたのは、ホコリと10円硬貨1枚だけ。
下着や靴下、ときにネズミも出てくるというが、
おかげさまで、ウチの楽器は大丈夫だった。
実は、彼とは、13年ぶりの再会だったが、
なんと話の弾むこと。
音楽や調律法の話はもちろん、
私淑した古典調律法の恩師が同じことも判明。
果ては、子供の頃に分解した時計などの機械類、
そんな話まで話題は広がった。
昔の目覚まし時計は分解する楽しみがあった、
などといった他愛ない話ではあるが。
画像は、彼の仕事道具、チューニングハンマー。
このツールで、ピアノ線の張り具合を整える。
上は、長く愛用のハンマーで、
色々とカスタマイズされている。
下は、カーボン製で、グリップはローズウッド、
ドイツ、Jahn(ヤーン社)のもの。
しなりがなく、力の伝わり具合が、確実で、
繊細な調整がしやすいそうだ。
そう云う話もツール好きの私には興味深く、
ついつい、問いかけたりする。
結果、6時間以上に及ぶ、作業になってしまった。
営業妨害も甚だしい。
それでも、気持ちよく対応してくださった。
ばかりか、予定外の調整もしてくださったようだ。
おかげで、うまく弾けるような錯覚を覚え、
家人たち皆が弾きたがるようになった。
まあ、それも、ここ数日のことかもしれないが、
楽器には、申し訳ないことをしていたと反省。
岡本さん、本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
岡本ピアノ工房