調律

今年、24年目になるピアノ(ヤマハC3)が、
ウチの居間で、3年間放置されている。

購入時からお世話になっていた調律師の方が、
体調を崩されたことがきっかけ。

かなりの重病と伝え聞く。
一日も早いご回復を祈るばかり。

所詮は、素人の楽しみに過ぎないのだが、
では、どなたにお任せするかというと考え込む。

決断力がないのか、逡巡するうちに、
気がつけば3年も過ぎていた。

フェイスブックで再会した旧知を思いだした。
彼は、古典調律にも造詣が深く、とても研究熱心。

ただ、きわめて学究的で、少々遠方の方でもある。
一方、こちらは、素人が弾くポンコツピアノ。

おそるおそるメッセージを送ると、
快諾してもらった。

ありがたい。

ほとんど放置楽器だったのだが、
でてきたのは、ホコリと10円硬貨1枚だけ。

下着や靴下、ときにネズミも出てくるというが、
おかげさまで、ウチの楽器は大丈夫だった。

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実は、彼とは、13年ぶりの再会だったが、
なんと話の弾むこと。

音楽や調律法の話はもちろん、
私淑した古典調律法の恩師が同じことも判明。

果ては、子供の頃に分解した時計などの機械類、
そんな話まで話題は広がった。

昔の目覚まし時計は分解する楽しみがあった、
などといった他愛ない話ではあるが。

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画像は、彼の仕事道具、チューニングハンマー。
このツールで、ピアノ線の張り具合を整える。

上は、長く愛用のハンマーで、
色々とカスタマイズされている。

下は、カーボン製で、グリップはローズウッド、
ドイツ、Jahn(ヤーン社)のもの。

しなりがなく、力の伝わり具合が、確実で、
繊細な調整がしやすいそうだ。

そう云う話もツール好きの私には興味深く、
ついつい、問いかけたりする。

結果、6時間以上に及ぶ、作業になってしまった。
営業妨害も甚だしい。

それでも、気持ちよく対応してくださった。
ばかりか、予定外の調整もしてくださったようだ。

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おかげで、うまく弾けるような錯覚を覚え、
家人たち皆が弾きたがるようになった。

まあ、それも、ここ数日のことかもしれないが、
楽器には、申し訳ないことをしていたと反省。

岡本さん、本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

岡本ピアノ工房
by hirorin330 | 2012-09-22 18:44 | 音楽