晩秋の景色 2013年12月
用もないのに、
ふらふらと帰ってくるんやないで。
畑道也先生は、
怖い顔で、そうおっしゃった。
助教授時代からお世話になり、
母校の院長までつとめられた大恩師。
卒業してから30年以上が経つが、
いつも、先生の言葉を心にとどめていた。
先日、所用で、母校を訪ねた。
懐かしい。
中学部は男女共学になり、
高等部の場所は、大きく移動した。
学部が増えて、理工学部は、三田へ、
教育学部は、聖和大学キャンパスへ。
それでも、正門から時計台を見る、
この景色は、何一つ変わっていなかった。
時計台の奥には、秋色の甲山。
四季それぞれに美しい。
中央芝生、右手に神学部と文学部、
左手に経済学部と中央講堂。
手前にW.R.ランバス記念礼拝堂。
学生時代、ここでオルガンを弾いていた。
中央講堂は工事中だったが、
経済学部裏手の日本庭園は、健在。
どころか、紅葉真っ盛り。
なかなか、みごと。
実は、徒歩圏にあるせいもあって、
母校は、ちょくちょく訪れてきた。
サブウェイでサンドイッチを食べたり、
三田屋でステーキランチを食べたり。
母校のランチタイムは、
なにかと楽しいので。
もちろん、畑先生のあの言葉に、
かすかに後ろめたさを感じつつ。
しかし、この日は、
久しぶりにゆったり散歩した。
日本庭園で紅葉を愛で、
新月池のほとりを歩いた。
なんとも、寛ぎ、癒された。
ああ、緩む。
ふと先生の言葉の意味が、
ようやくわかった気がした。
私の母校は、関西学院。