厄神参り
お正月には、一年のお願い事をしますが、日本には厄年いうのがございまして、女性の19歳に33歳や男性の42歳やら、なんや気になるもんでございます。そこで、西宮の門戸(もんど)いうところの真言宗のお寺で東光寺(とうこうじ)いうのがございまして、お寺やのに日本三大厄神明王やそうで、まあ、後の二つは存知まへんのですが、1月の18,19が大祭やそうでございます。そういうところへお参りをして安心さしてもらう、そういうお話でございます。
○まいど。
●おいど。
○またかいな。
●いや、どないしてんな、正月早々しょぼい顔して。
○いや、実は、厄年でな。
●そやな、同い年やしな。
○気にならんか?
●気にしてもしゃあないやろ。
○まあなあ、でも、気になってな。
●米びつ空になっても気にせんヤツとは、思えんな。
○米はなんとかなるがな、ここへ来たら。
●来んでよろしい。
○でも、気になってな。
●ほんなら厄神さんでもお参りしょうか。
○厄神さん?
●そや、厄除けの神さんや。19日が大祭や。
○今日やがな、そらええ、行こ行こ!
●調子のええやっちゃな、もう元気になりよった。
わいわい言いながらも門戸厄神へやってまいりまして、
えらい人出にびっくりしております。
○えらい人やなあ、これみんな厄年かいな?
●そうなんやろな。
○よっしゃ!
●なにがよっしゃや?
○ワイが19の女の子面倒見るし、33の年増は譲ったる。
●何しに来てんねんな、こいつは、ほんまに。
○あかんなあ。
●何がや?
○婆さんばっかりやないか。
●そら若い子で信心深いのは珍しいやろ。
賞味期限も気にせんと若さ過信する年頃やしな。
○ほんまや、19はかならず親が付いとる。
●そら、おまえみたいなんが居るから親も心配やがな。
○よっしゃ、タッチ交替や、33でええわ。
●何がよっしゃや、お参りせんかいな!
○しかし、なんや知らん、とんがらし(唐辛子)屋がおおいなあ。
●七色のもん身につけたら厄除けになる言うけど、関係あるかもな。
○ホンマや、七色の組紐のお守り売る店も多いな。・・・よっしゃ!
●こいつのよっしゃは、ろくなことがない、どないしてん?
○丸腰の19や!
●丸腰て、ほかに言いようないんかいな。
○お嬢さん、寒いですね。ボクと熱いきつねうどんでも食べませんか?
●よう言わんわ、こいつ、口説いてるんかいな、きつねうどんで。
しかも似合わん関東言葉やし。
☆何言うてんねんこのおっさん!うどんといっしょにこれでも喰らえ!
○あちゃちゃ!
19とおぼしき娘さん、駆け出しまして、
☆お母ちゃん!やっぱり厄除けに効くわ!七味唐辛子!
えらいところで七色の効能を証明しております、『厄神参り』半ば、でございます。
トト、トン、シャンシャンシャン、トテチン♪

