LES CHORISTES (コーラス:2004年、フランス)

映画館に行く機会も、落ち着いてDVDを見る機会もなかなかないので、
いまさら、というタイミングでの記事をお許しいただきたい。

私は、美味しいものと美しいものは人を幸福にすると信じている。
美しいもののひとつには、音楽がある。

モーツァルトを聴かされたホルシュタインがたくさんミルクを出すかどうかはともかく、
人の心を沈静,あるいは高揚させる音楽があるのは確か。「音楽療法」は確立されている。

一方で、オペラの盛んな国とファシズムに走った国の合致は、不気味。
合唱も然り。大勢でひとつの歌を歌う魅力は魔力に通じるかもしれない。

私は、音楽のある家に生まれ育ち、鍵盤楽器と声楽を学び、音楽美学を専攻してきた。
だから、今では音楽と縁遠い生活をしているが、この映画が実話だとしても驚かない。

(ついでに予防線を張っておくが、飲み屋にピアノがあったくらいでは弾かない。
いや、正確には、弾けない。ジーコジャパンのドイツでの活躍の方が気になる。)

むしろ、音楽が癒しきれなかった一人の不良少年の存在が刺となって胸に残る。
もうひとつだけネタバレ寸止め。ペピノは21世紀のマルセリーノ(『汚れなき悪戯』)だ。

おすすめ。
by hirorin330 | 2006-02-04 16:19 | 映画・DVD