冷麺 vs 冷やし中華

関東以北の人が関西で冷麺を食べて憤慨する、
という話を聞いたことがあるが、それもどうかと思う。

駅前であろうと、高級店であろうと、
中華料理店で朝鮮半島の冷麺は出ないだろう、普通。

が、ことを荒立てることの嫌いな関西人は、すでに魂を売り飛ばしたようだ。
最近では、冷麺を冷やし中華と名乗る店が増えたように思う。

関西でも、なんでもかんでも標準化してしまう傾向があって、
私としては、いささかシャクでもあるが、美味しければまあいいか。

で、いかりスーパー。
なんと、冷麺と冷やし中華、両方売っているのだ。
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関西では、華僑の経営する中華料理店が戦前から多くあり、
中国に「冷麺」とよぶ料理があったのは事実らしい。

それらは、こってりしたゴマだれで食べるもので、
醤油と酢がベースの「冷やし中華」とは、いささか違う麺料理だったようだ。

が、いかりスーパ。
なんとなく、それらをそれらしく再現しているのだ。
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先に辛子を溶いているので冷やし中華のスープも少し濁っているが、
冷麺とのスープの違いは、一目瞭然。

冷やし中華(手前・右)は、醤油と酢がベースのスープにゴマ油が効いていて、
冷麺(奥)は、ゴマだれ系のスープで、こってりしているように見える。

具材は、「特製」をうたう冷麺の方が豪華だが、
それ以前に、料理としての違いを思い出させるものがある。
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冷麺は、クラゲや蒸し鶏など中華料理であることを意識させられる具が並び、
冷やし中華は、錦糸卵やシイタケに「和」を感じてしまう。
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食べてみると、冷麺のゴマだれも、こってりではなく、
酸味のきいた日本風アレンジだった。

ほかのスーパーでもスープの味が選べる商品があるようだが、
いずれにしても日本で生まれた麺料理といって差し支えないだろう。

冷麺(冷やし中華)万歳。