Osteria O'GIRASOLE / 芦屋
評判は聞いていたが、以前の店は、少し遠かった。
行きたいと思ううちに、店の方が近付いてきてくれた。
自己中。
人気店なので、ランチは、予約も困難。
が、カウンターなら、と滑り込めたのがうれしい。
JR芦屋の山側の道を数分東(大阪方向)へ歩いて、
宮川沿いを2~3軒北へ。
一見、それとわかりにくい構えではあるが、
硝子戸の内側のもう1枚の木の扉で、外界と隔ててある。
上品で落ち着いた店内の奥にオープンキッチンに向かって
ゆったりしたカウンターがある。
ものの見事にご婦人客ばかり。
それくらいでめげはしないが。
お昼のシェフのおすすめコース
★アンティパスト5種
★タコのナポリ風リングイネ
★詰め物をしたウズラのオーブン焼き
☆レモンのデザート
スプマンテ:グラス
赤:グラス(ドン・アントニオ:シチリア)
★エスプレッソマッキアート
一日を泡で始められる幸せは何物にも代えがたい。
細かで活発な発砲、フランチャコルタの何かだったと思う。
よくある「前菜の盛り合わせ」だが、
そこかしこに「ナポリ」の雰囲気が、漂っている。
後ろ2品は、タコのマリネとプロシュート。(冷)
手前は、魚介のフリット、トリュフオムレツ、イカのソテー。(温)
水分少なくラグーソースのようなタコのトマトソース。
リングイネにねっとりからみついて、美味い。
レーズンと松の実の入った自家製パン。
美味しかったので、おかわりした。
メインは、ウズラのファルシー(詰め物)を選んだ。
ソーセージや炒り卵がびっしり詰まっている。
レモンのデザート。
シンプルに見えて、中はとても凝っている。
底のスポンジの上にレモンジャム、その上がレモンのジェラート。
それに薄いスポンジをかぶせて、リモンチェッロのカスタードでコート。
エスプレッソマッキアート。
私の顔が写っているのではない、念のため。
うれしかったのは、エスプレッソを出すタイミングをきいてくれたこと。
かなり濃厚なドルチェだったので、エスプレッソが早く欲しかった。
普通、レストランでは、エスプレッソは冷めやすいし、
冷めてしまうと美味しさも台無しなので、最後に出される。
デザートをいただきながら、今、コーヒーが欲しいな、
と思うことも少なくないが、なかなか無理も言いにくい。
コーヒーをデザートと一緒にいただいて、
とどめがエスプレッソ、これが贅沢な幸福なのだが。
もうひとつ付け加えておくとすると、
普通のランチで出される栗とチョコのデザートが気になった。
「ジラソーレ(ひまわり)」というと、ついあの映画を思い出す。
S.ローレンとM.マストロヤンニの『ひまわり』だ。
映画音楽がまたよかった。
H.マンシーニのテーマを聴くだけ、胸が締め付けられる。
引き裂かれた二人の思いは、子供心にもわかる気がした。
あの一面のひまわり畑の明るさが、むしろ苦しかった。
何十年も経った今、昼から『ジラソーレ』で満腹で、苦しい。
私の精神性は、明らかに退化しているようだ。