手仕事の逸品を求め、その作業場へお邪魔する「手仕事探訪」、今回は、コルク鍋敷き一筋30年の三代目『コルフナ』さんにお話をうかがいます。コルクの焼ける香ばしい薫りとワインの香りも漂う作業場は、雑然としつつも職人の使い勝手にこだわる様子が感じられます。
私:ワインの香りもいいですねえ。
コルフナさん(以下「コ」):いいコルク使ってるからね。やっぱ、グランヴァンはいいね。
私:こんなにたくさんの材料はどのようにして?
コ:そりゃ、俺が飲むのさ。
私:ということは、材料集めも大変なお仕事になりますねえ!
コ:んなこたね。好きでやってんだ。
私:拝見してますと、見取り図や設計図もなしの作業ですか?
コ:ワインが1本1本違うようにコルクだって一つずつ個性がある。それを組み合わせてこさえるんだから、図面なんてねえさ。二つと同じものはできねえし。
(職人気質のコルフナさんのご機嫌を損ねたかもしれません。ここは、急いでよいしょ。)
私:それにしても見事な鍋敷きですねえ!粉砕コルクを圧縮して作られたコルクボードの鍋敷きとはまるで違います。
コ:あたりめえだ。一緒にするな。
私:す、すみません。(またお叱りを。)
コ:んにゃ、ええ。
私:どれくらいのペースでお造りになるのですか?
コ:最近は、酒量も減ったし、あんまり作らね。
私:お弟子さんや後継者の方は、いらっしゃいますか?
コ:んにゃ、居ねぇ。仕事がきついのか、弟子はすぐやめちまうし。子どもは、みんなよそで好きなことやってる。
私:それでは、この鍋敷きは・・・。
コ:俺で終いだな。(寂しく微笑む)
手仕事探訪では、様々な手仕事をお伝えしてきましたが、時代の流れにあらがうかの鍋敷きはもうすぐ幻のものになるのかもしれません。今回、コルフナさんのご厚意で先着3名様に未開封のワイン18本で、「逸品コルク鍋敷き」1枚を作っていただけることになりました。ワインは、赤でも白でも、ただし、グランヴァンクラスの天然コルクが使用されたワインに限る、ということです。ふるってご応募ください。尚、完成までには、通常、18日から30日かかるそうです。知らんけど。